日本一の大投資家 竹田和平に学ぶ 7つのこと



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花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~

 

「タマゴボーロ」で有名な竹田製菓の代表取締役で、多数の上場企業の大株主として有名な竹田和平さんについて書かれた本。成長株投資を好む自分としては、投資法に関しては相容れない部分もあるが、学ぶべきことは非常に多く、何のために投資をするのか考えさせられた。忘れないように、心に留めておきたいことを書いておく。

 


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1.日本一の大投資家の銘柄選びの極意

 

とにかくまず一株利益そのものを見る。この時に、利益の多くを配当に回している会社が良いという。配当を抑えて内部留保を厚くするという、一般的な日本の上場企業の経営者たちの常識は誤りだと竹田さんは主張するのだ。(P.138)

 

まずは、一株利益を見る。そして、配当性向を見る。配当性向を見る理由は以下だ。

 

「配当として外部に流出させてしまうと、新規投資を借金でせざるを得ないではないかと経営者の人は勘違いしがちなのですけどね。この考え方は誤りなのです。配当というのは高いほうがいい。儲かった時には、うんと株主に還元するべきなのです。そうすれば、そういう会社は、必ず株価で評価されますよ。上場しているのはなぜか。そのことを考えれば、答えはおのずから分かるはずです。会社が上場しているのは、株式市場から資本を調達するためです。新規投資を行う時には、増資によって、株主から新しい資金を投資してもらって、それで行うべきなんです。投資家も、この会社に投資すれば、きっと手厚く報いてくれるだろうなと思うからこそ、自分のお金を投資してくれるのです。逆に、会社がどんなに儲けを上げても、内部留保という美名に隠れて株主に還元しないというのでは、そんな会社の株価が上がらないのは当然です。」 (中略) 「上場企業では資本を投資家から広く募っています。新規投資が必要になれば、投資家は貴重なお金を投資してくれるのです。このことを、ときどき経営者は大きく勘違いするのですよ。タダで金が入るのだ、と。あんな株主に配当を払うのなんてマッピラだと。しかし、それは考え違いなのです」だからこそ、配当性向が高いことは重要なのだと竹田さんは言う。(P.138-139)

 

日本ではバカな増資が多いせいか忘れがちだが、本来、上場企業は新規投資を行う時には、増資によって株主に新しい資金を投資してもらって行うべきだ。そして、貴重なお金を出してくれた株主に報いるべきだ。だからこそ、配当性向が高いことは重要なのだ。

 

もちろん株主に高い還元を続けていても、良い企業であれば内部留保も自然に積み上がる。そこで竹田さんは株主資本比率も重視している。「株主資本比率が高いというのは、継続的に良い経営を続けてきた証です。過去からの会社の成績を示すものが株主資本比率の数字なので、これも重要視しています」(P.140)

 

優良企業は、それでも内部留保が積み上がる。なので、株主資本比率も重要。 

 

これらの条件を満たしていても、割安株でなければ意味はないと考えている。そこで、現在の株価が、過去の高値から見て、どれだけ値下がりしているかという点も、竹田さんは重視する。そのほかに重視するのは、過去の売上高伸び率だ。(P.140)

 

そして、割安の基準として過去の高値から見て、どれだけ値下がりしているか、また、過去の売上高伸び率も重要だと主張する。 

 

まとめると、以下5点になる。

 

・一株利益

・配当性向

・株主資本比率

・過去の高値からどれだけ値下がりしているか

・過去の売上高の伸び率

 

注目する点は、誰でも注目する指標だが、竹田さんは以下のように言う。 

 

「どんなものであれ、投資の哲学なんて単純です。割安なものを買わなくては、ぜったい成功しないのですから」(P.140) 

 


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2.日本一の大投資家情報源はたったひとつ

 

『会社四季報』だけで十分なんですよ。『会社四季報』というのは、長年続けてきた本でしょう。もしも情報や予想を大きく間違えてしまったら、すぐに結果が判明してしまいます。きっと編集部には四六時中『いったいどうしてくれるんだ』というクレームの電話が入っているだろうと思うんですよ。なにしろ読者は自分の大切なお金を賭けているのですから必死です。長年にわたって、クレームを言われ続け、厳しい読者に鍛えられ続けて、今の『会社四季報』がある。だから『会社四季報』を信頼するだけで十分なんです。もしも『会社四季報』が間違えたら、ぼくも間違える。それは仕方がないこととあきらめる。こういう覚悟さえ持っていればいいんです。多くの情報を聞きすぎると迷うだけです。それに経営者本人にだって、未来のことなんか分からないのですから。(P.134-135)

 

ここでの本質は、多くの情報を聞きすぎないことだ。情報が多すぎると、また、色々なことを聞きすぎると迷うだけで、いいことはあまり無い。

 

 

3.日本一の大投資家が買う株は買ってはいけない

 

ぼくも若かった頃には、大失敗というのは何度もしていますよ。相手の言うことを額面通り真に受けて聞いてしまって大失敗。それは何度もあります。人の言うことを真に受けて何かをしても、十のうち九は失敗します。だって、相手があなた自身のことを、あなた自身以上に本気で考えているはずがありませんから。株でも投資でも事業でも同じことですが、誰かの言うことを聞いて、たまたま成功してしまったら、それこそ大きな不幸なんです。次は必ず失敗するからです。今回の成功以上に大きな失敗をしてしまいます。(P.136)

 

誰かの言うことを聞いて、たまたま成功してしまったら、今回の成功以上に大きな失敗をするのだと、竹田さんは言う。自ら考え、自ら判断することが最も重要なことなのだ。

 

ですから、私が買っている株だからという理由で、同じ株を買ってはいけません。まず失敗すると思います。そもそも私はその株を、皆さんよりも前に、皆さんよりも安い値段で買っているはずですから。株であれ何であれ、自分で判断して自分の責任において買うべきです。株は自己反省であり、日々、勉強だと思います。(P.136)

 

だから、日本一の大投資家が買う株を買ってはいけない。自分で考え、自分で判断し、自分で買った株が、日本一の大投資家と同じ株なら構わない。でも、日本一の大投資家が買ったという理由で絶対に買ってはいけない。

 

 

4.値上がりを期待して株を買ってはいけない

 

 値上がりを期待して買ってはいけません。値上がりしそうだと感じる株は、買ってはダメなのです。なぜなら値上がりしそうに思える株は、値下がりする株だからです。値下がりが続いて、もうこれ以上は、ここから値下がりしても底が知れてるという株を買うんです。みんな見放してしまって、値上がりしそうもないと思える株を、買い支えてあげるのです。(P.141)

 

株をやったことがある人なら、分かるのではないだろうか。値上がりを期待して買ってはいけない。 なぜなら、その株は値下がりする株だから。ここから値下がりしても底が知れているという株を買う、買い支えることだと言う。

 

 僕はいつも言うんです。『上がってよし、下がってよしの株価かな』って。未来のことなんて、誰にも分からない。でも『徳』のある会社を買い続ければ、会社も配当で株主に報いてくれます。株を買うということは、どんなに少ししか買わないにしても、旦那の一員になることなんです。自分ですべての責任を持つ、その覚悟さえあれば、投資はちっとも怖くなんかありませんよ。(P.148-149)

 

そして、買ったら『上がってよし、下がってよしの株価かな』。自らの責任で、『徳』のある会社を買い続けていれば、きっと会社も株主に報いてくれる。

 

5.日本一の大投資家にも分からないこと

 

僕は夢を買いません。投資先の会社の明日なんて、実際にはその会社の社長にだって分からないからです。僕も半世紀近く経営者をしてきたから言えることですが、ほんとうに確実なのは、今現在、会社がどのような状況にあるかという点だけです。将来のことなど誰にも分かりません。だから僕は直近の会社の状況を見て投資しているのです。株の失敗をする人は多いけれど、みんな明日の夢ばかりを買いすぎるのが原因だと思います。だからケガをするのです。多くの人がみんな夢ばかり追うので、夢のない会社の株は、本来の内容に比べて圧倒的に安い値段で叩き売られる。それが今の日本です。だけど世間の人がどう思おうと、割安で買える株があるなら、僕は黙ってそれを買うだけです。(P.141-142)

 

株が値上がりするか値下がりするかなんて、僕にも分かりませんよ。会社の経営者だって、自分の会社の明日のことすら分からないはずです。(P.148)

 

当たり前だけど、将来のことは誰にも分からない。日本一の大投資家も、株が値上がりするか値下がりするかなんて分からない。今現在、会社がどのような状況にあるかという点にだけ注目し、投資するべきだ。

 

6.投資は心

 

投資とは、技術ではないと思います。もちろん、会社の財務内容を読むための基本的なテクニックはありますけど、結局は心の問題なんです。心技体という言葉がありますが、いちばん上にあるのは『心』でしょう。技というかテクニックは、その次にくるものです。体というのは元手のことですよね。しかし世の中の投資の話というのは、この一番上の『心』の部分を忘れてしまって、二番目の『技』の部分やいちばん下の『元手』の部分ばかりに偏っています。株式投資というのは、根本的に言って、経営者という人間に投資する行為なのです。経営者の外ヅラだけ見ても簡単には分からないことですが、それでもまず経営者の姿は見ておいたほうがいいでしょう。特に、経営者が従業員や子供たちに語りかける何気ない一言で、真の姿がフッと見えるものです。その時に、ちょっとでも異常を感じたら、静かに手を引くべきですね。投資にとって世の中を応援する、そんな投資をしたいと思いませんか。投資を通じて愛と感謝に溢れる世の中を作るのは、私たち旦那の使命だろうと思います。頑張っている会社の頑張っている経営者を投資によって応援すること。それが投資の神髄だと思います。(P.145-146)

 

「株式投資というのは、根本的に言って、経営者という人間に投資する行為。」「投資を通じて愛と感謝に溢れる世の中を作る。」「頑張っている会社の頑張っている経営者を投資によって応援する。」すべて素晴らしい言葉だ。ただただ、テクニックだけを学び、お金を儲けることだけを目的にして投資をしている人が多いが、きっとこれらの言葉が投資の本質なのだろう。

 

 お金はしょせんゼロサムだけど、喜びは増殖するのです。与える側も喜び、受ける側も喜ぶのですから。これは僕の発明した言葉ですが、『貯徳』するべきなんです。愛を与えれば愛が返ってくるのです。(P.147)

 

そして、『心』を大切にした投資は、きっと自分にも素晴らしい結果が返ってくるのだ。

 

7.投資をする本当の意味

 

株式を買えるということは幸せなことです。旦那になれるということですし、ひいては日本という国の信用秩序の維持に一肌脱ぐということだからです。株を買うということは、みんなに喜んでもらえるということなのです。(中略)銀行預金がゼロ金利でも、元本さえ安全であれば、自分さえ幸せであれば、それで満足できるのでしょうか。(P.174)

 

自分さえ儲かればいいのか、自分さえ幸せであればいいのか。

 

自分が周囲に与えたものは必ず自分に返ってくるものだからです。サンタさんや花咲じいさん、恵比寿さまなど、みんな幸せそうな顔をしているでしょう。あれはなぜだと思いますか。周りを喜ばせようと努めていると、本人がいちばん良い顔になるのです。年を取ったら花咲じいさん。それがいちばん楽しいことではありませんか。(P.186)

 

与えたものは必ず自分に返ってくる。そして、与える人というのは、きっと一番幸せなのだ。

 

投資というのは誰だって最初は自分のために始めるわけです。これは投機みたいなもので当たったり、外れたりゼロサムの世界だから、当たれば当たるほど次の損が大きくなります。これではダメだ。世の中のためになる投資でなければダメだと気づくと、初めて、まずまずの成功が得られるようになります。だけどそこでもう一つ、「自分のためという意識」を抜いてみるんです。そうするとものすごい世界が広がります。投資が「何%」の世界から、「万倍」の世界に進歩するんですよ。(P.188-189)

 

投資をするのは、ほとんどの人にとって自分のためだろう。しかし、そこはゼロサムの世界だ。世の中のためになる投資でなければダメだと気づこう。そこにはきっと、お金を儲けるという以上の素晴らしい世界がある。そして、それこそが投資で成功するための本質なのかもしれない。

 

花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~ (文春文庫)

花のタネは真夏に播くな ~日本一の大投資家・竹田和平が語る旦那的投資哲学~ (文春文庫)

 

目次

第1章 お金持ちになるための、たったひとつのキーワード

第2章 こうして日本一の大投資家が誕生した

第3章 投機から投資へ、そして日本一の花咲じいさんへ

第4章 日本一の大投資家が語る、株式投資の極意とは

第5章 竹田和平さんの、幸せになる極意

第6章 竹さんのすすめる、貯徳人生

 

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